中古マンションの終末を考える上でも、海外の事例はさまざまな材料を提供してくれる。私が近年、もっとも驚いた事例がバンコク郊外にある。タイでは、わが国のバブル経済崩壊のあとに急速な経済発展が訪れ、バンコク市内は高層ビルや、中古マンションの建設ラッシュに見舞われた。ところが平成九(一九九七)年の通貨危機によりタイのバブル経済は終焉し、バンコク市中のいたるところに建設途中で放棄された建物が取り残され、今日にいたっている。そのもっとも凄惨な姿をバンコク郊外の高層団地でみた。三〇階からなる一八棟の超高層中古マンション団地であるが、おおむね半分が完成した時点でバブル崩壊に見舞われた。すでに入居が開始し、一部の人たちの生活が始まっているものの、未完の部分は建物が放置されたままになっておりゴーストタウン化しつつある。タイでは外国資本が参入し、放置された建設途中の高層ビルを日本人の永住を希望するシニア向け中古マンションにコンヴァージョンしようとする計画もあるから、この高層団地でもなんらかの再生計画が講じられるかもしれない。しかし、現状では工事再開のめどが立つ様子はなく、このままでは治安面からも、ゴーストタウン化が居住の始まった街区へ次第に侵食していく可能性を否定できない。そのときに、この中古マンションはどのような終末を迎えるのであろうか。
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